フォトギャラリー
12月の花
酔芙蓉
芙蓉の花は夏から秋にかけて咲くが、沖縄では初冬まで咲いている酔芙蓉というのがある。朝白く咲いて夕方になるとお酒を飲んだ人のように赤くなるので、その名をいただいたものらしい。家の近くにも八重の酔芙蓉の成木があり、やはり11月まで咲いている。同じアオイ科のワタの花は、朝クリーム色に咲いて二日目になるとピンクになる。(2008.12.1)
沖縄の酔芙蓉(宮城邦昌氏撮影)
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八重の酔芙蓉(横浜)
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11月の花
野ブドウ
野ブドウは花より実に趣がある。花は5月に咲くのだが目立たない。咲き方も葉もヤブカラシに似ていると思っていたら、同じブドウ科であった。それが晩秋になると、丸い小さな実が灰青から紫に色づきはじめる。ひと粒ひと粒色づきのニュアンスがちがうので、瓶などに投げ入れると美しいが、食べられるとは聞いたことがないから毒なのであろうか。(2008.11.1)
野ブドウの花(横浜)
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野ブドウの実(横浜)
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10月の花
ヒッツキムシ
秋になると道端や空き地の草がどんどん実をつけはじめる。その中で動物の毛にひっついたり、人の服にくっついたりして種を運んでもらおうとするのがヒッツキムシである。子どものころ、それを採っては友だちとくっつけあって遊んだものである。コセンダングサの種は先が二股に尖っていてよく刺さった。オオモナモミの実にはフック状の突起がいっぱい付いていて、セーターにくっつくとなかなか取れなかった。空き地のイノコヅチは花も実もあまり目立たないが、犬の毛やズボンの裾によくついていたりする。(2008.10.1)
コセンダングサ(横浜)
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イノコヅチ(横浜)
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9月の花
イヌビワ
本の町神保町の街路樹はイチョウ、スズカケなどであるが、トウカエデが多く植えられているのが意外であった。スズラン通りの赤花のトチノキは通りが改修されたときのものでまだ若い。街路樹の根元には住民が植えたと思われるものや、名前のわからないものが色々ある。神保町の交差点近く、小さな丸い実をつけた木があった。少し見とれていると、ナップザックの軽装の人がイヌビワと教えてくれた。野生するイチジク科の木で、実が黒く熟すと食べられるという。鳥が運んできたものであろうか。(2008.9.1)
イヌビワ(5月、神保町)
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イヌビワ(8月、神保町)
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8月の花
サルスベリ
百日紅は夏に咲く代表的な木花で、驚くほど花期が長い。初夏から咲き始め、秋遅くまで咲き続ける。花が枝先に集まって咲き、しわしわのレースのような花びらが冠状になり豪華な感じである。花の色も紅、ピンク、白と炎天下に映えて鮮やかである。サルスベリという名の通り、猿もすべるほど幹がつるつるなのであるが、横に伸びた幹は子どもたちの格好の滑り台でもあった。(2008.8.1)
サルスベリ(横浜)
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サルスベリ、白(横浜)
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7月の花
カンナ
カンナの花が咲くと夏である。葉も花も大ぶりな園芸植物で、花の色も赤、朱、黄色、斑入りと多種多彩である。原色的な花色と花びらの重なり具合に、好き嫌いが分かれるのだが、それは好みというものであろう。肉感的なカンナの花を句題に好んで詠む老人もいた。名随筆家で、東京借家人協会という一人協会を立ち上げる洒落っ気もあった。その人から、色紙をいただいたことがある。飄逸だけでなく、「芹摘むとかがまる背にも雲動く」という俳境に達してもいた。(2008.7.1)
カンナの花(横浜)
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カンナの花(横浜)
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6月の花
ニセアカシア
6月に入ると、信州の谷筋はアカシアの白い花で埋め尽くされる。アカシアはミモザを指すが、こちらではニセアカシアのことである。白い花房が枝一杯につく。友人の農家で、このニセアカシアの花房の天ぷらを馳走になったことがある。咲き始めの、先の方がまだ蕾くらいの房を採ってきて、片面だけ衣をつけ低めの油でさっと揚げる。軽く塩をふり、房の芯をつまんで口でそぐように食べると、花のほのかな甘い蜜と香りが口中にひろがり思わず声を上げたほど美味であった。(2008.6.1)
ニセアカシアの花 (信州佐久穂町、須田清氏撮影)
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ニセアカシアの花房(須田清氏撮影)
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5月の花
リンゴの花
5月の連休を過ぎると、信州ではリンゴの花が咲き始める。郭公ののどかな啼き声が谷をわたって来るリンゴ園では、農家の人は摘花に忙しい。枝についた花を、実がつき過ぎないようにまわりの葉数に合わせて摘むのである。それで終わりではなく、そのあとに残す実を決める、摘果という作業がある。花に囲まれ鳥の声を聞きながらも、リンゴ農家は季節に追われていつも仕事がある。庭には姫リンゴの木があり花の大きさは変わらないが、信州の花の方がピンクが少し濃いかもしれない。(2008.5.1)
リンゴの花(信州佐久穂町、須田清氏撮影)
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姫リンゴの花(横浜)
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4月の花
ナガミヒナゲシ
近所の空き地が野原になり、ケシの朱色の花で覆われた。勝手にノゲシと思っていたのだが、調べてみるとノゲシは西洋タンポポのことで、ナガミヒナゲシ(長実雛罌粟)とあった。細長い実の中には、まさに芥子粒のごときこまかい種子が詰まっていて、はじけて散らばる。帰化植物の強さであっという間に空き地を制した。条件が整うと、ある期間一種類の草が場所を支配する。しかし花を咲かせ実をつけてしまえば、次に花期を迎える草に早々とあとを譲る。少し前まではカラスノエンドウが勢いよく茂っていたのである。(2008.4.1)
ナガミヒナゲシ(横浜)
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ノゲシ(横浜)
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3月の花
リュウキンカ
春早く咲く花は、白か黄色のものが多いような気がする。春が深まるにつれて、花の色は一気に多彩になるのだが、3月は庭のスモモや桜桃の木の白い花の下に、立金花(リュウキンカ)やタンポポ、ヘビイチゴの黄色の花が咲くという具合である。立金花はキンポウゲ科、タンポポはキク科、ヘビイチゴはバラ科とそれぞれ出自はちがうが、いずれも白花の変種があるという。しかし、写真でしか見たことはない。出会えるのはよほど幸運の人にちがいないのだが、一度は出会ってみたいものである。(2008.3.1)
立金花(横浜)
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ヘビイチゴの花(横浜)
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2月の花
ホトケノザ
春の七草は早春のものである。ご飯とお餅をやわらかく炊いた粥に、七草をたたいて入れる。「セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ、これぞ七草」と、子どもの頃から諳んじていたが、実際の菜と一致したのはかなり後のことであった。ナズナはぺんぺん草、ゴギョウは母子草、スズナは蕪、スズシロは大根とわかった。しかし、ホトケノザが田平子(タビラコ)で、やはり畦などによく出る野草であり、いま庭にあるものとは違うというのは知らなかった。七草はいずれも田畑と用水路、畦道がセットになった農村の田園風景を強く想起させる。(2008.2.1)
庭のホトケノザ(横浜)
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ぺんぺん草(横浜)
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1月の花
マンリョウ
冬になると、マンリョウの紅い実が目立ようになる。花は夏に咲くが、地味なのでつい見逃してしまうほどである。庭のマンリョウは植えた記憶がないので、鳥が運んだのであろう。あちこちに株がある。植え込みの中に白い実をつけたマンリョウもあった。正月の寄せ植えにマンリョウとセンリョウを使うのは、もちろん万両、千両の縁起を担いだのにちがいない。マンリョウはヤブコウジ科で実は下向き、センリョウはセンリョウ科で実は上向きとちがうが、どちらもいっぱい実をつけるのが喜ばれたのであろう。(2008.1.4)
マンリョウ(横浜)
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白い実のマンリョウ(横浜)
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