7月の花 アジサイ
 アジサイは梅雨時の曇り空によく似合う。濃い緑の葉の上に浮かぶ花が、雨に濡れると一層映えるからであ ろうか。中学生の頃、アジサイを漢字で紫陽花と書くのを斜陽花と覚えていたことがある。単純な思いちが いだが、間違いだとわかっても捨てがたいニュアンスを今も感じる。アジサイの花の色はその土地の酸性度 によるらしく、中性ならば赤色になり酸性が強ければ青色を呈すという。しかし、一つの株でも、咲き始め は薄緑色を残した白い花びら(本当はガク)の縁がピンクに染まり、徐々に青みを増して、咲ききると赤紫 色に変化してゆくので、ちがう色合いの花玉がいくつも重なり合う様にこの花の風情がある。そのあたりの妙を詠ん で、「あじさいの花は鞠とぞかぞふべき」と覚えているのだが、誰の句であったか忘れてしまった。沖縄の アジサイは梅雨が明けると、あまりの日差しの強さに花びらが日焼けしてしまうという。(2003.7.1)

咲きはじめのアジサイの花(横浜)

沖縄のアジサイ(宮城邦昌氏撮影)