11月の花 ホトトギス
 ホトトギスが庭の片隅に今年も咲き始めた。この花の花弁に、鳥の不如帰の胸の斑紋に似た斑点がある のでその名を取ったものと聞くが、薄紫色の地にいくつもの濃い紫の斑点が散らばり、沢山の花をつける ので華奢な茎葉がしなう。万葉の昔から鳥の方のホトトギスはその啼く声の興趣が詠み込まれていて、姿 は見えずとも特別に親しんでいた気配がある。初夏の山近い農村に提携している農家の援農に行ったこと があるが、リンゴ園の農作業の合間に聞く、カッコウやホトトギスののんびりとしたおおらかな声は、農 業という労働の中にある至福を思わせるものであった。タイワンホトトギスというのは沖縄だけではなく大 和にもあるが、園芸店で求めた庭のホトトギスは交雑種であろうか。先月「10月の花」で、サシバの渡り のことを書いたら、沖縄の友人から写真(八重山毎日新聞・本若博次氏撮影)が届いた。2000羽とも3000羽ともいう渡りである。(2003.11.1)

横浜のホトトギス

サシバの渡り(石垣島バンナ岳)