2月の花 寒牡丹
随分前のこと、上野の何かの展覧会に行こうとしたのだが、あまりの混雑に諦めて上野公園から不忍の池に降りて行ったことがある。途中に上野東照宮があり、その脇に牡丹園があった。寒牡丹の展示をしていて、この時期にどうしてと思って入ったことがある。牡丹は晩春のものと思っていたのだが、春と冬に咲く二季咲きのものがあるとは知らなかった。寒さよけのために三角帽子の藁の寒さ除けで囲われているのが珍しかった。その時は、なにか季節外れの気がして写真も撮らなかった。それがずっと気になっていたのだが、以前連句の吟行に行ったことがある向島百花園で、寒牡丹の開花の知らせがあった。それで久しぶりに行ってみた。園内はまだ梅の蕾もかたく、冬枯れであったが、寒牡丹が紅白植えられていた。

この号が二百四十号で、満二十年となった。長いようでもあったが、あっという間のような気もする。過ぎてみれば、万事このようなものであろうか。まわりがすべて畑だった家のまわりもどんどん家やらマンションが建ち、荒れ地や野原が無くなって行った。我が家の庭の一角を、多様な雑草を楽しむ庭と称して粋がって放置しているが、それも強い草がわがもの顔に広がりつつある。まずは適当に付き合ってゆくしかあるまいと思う。と、観念したところで、この「今月の花」も一区切りとし筆を置きたいと思う。(2023.2.1)

寒牡丹、赤(向島百花園)

寒牡丹、白(向島百花園)