11月の花 コムラサキ
 ムラサキシキブという灌木を知人の庭で見たのは、30年も昔のことである。訪ねた時にはあいに く花も実もつけていなかったが、知人が嬉しそうに名を告げたことが印象に残っている。ムラサキ シキブが山野に自生するもので、庭に実生で出てくるものはコムラサキであるのを知ったのはずい ぶんあとである。紫の実をつけるのを紫式部といい、白い実をつける方は白式部というのだが、こ のゆかしい名の名付け親はいつ頃の人なのであろうか。庭にはマンリョウもあり、センリョウとは反対 に赤い実を下向きに沢山つける。マンリョウにも白い実をつけるものがあるが、特に別名はないよ うである。コムラサキもマンリョウも花は小さく地味で目立たないが、鮮やかな色の実で花の少な くなった晩秋の庭を飾ってくれる。(2005.11.1)

コムラサキの花(横浜)

コムラサキの実(横浜)