6月の花 クチナシ
 梅雨に入るとクチナシの花のあまい匂いが重く漂いはじめる。少年のとき学校の帰り道など、香りに 誘われてよく顔を寄せたのを思い出す。夕闇に浮かぶ白い花に、若い女の面影を重ねる歌が多いのは、 この花の香りと清楚な姿によるからであろうか。沖縄では一足早く五月には梅雨入りし、ツバキ科のイ ジュの花が山に咲き始めやはりあまいよい匂いを漂わせるという。沖縄、国頭村出身の歌手、平ゆきの「伊 集ぬ花」に「五月の雨降るヤンバルの山に、真白に咲く花、伊集ぬ花。雨にうたれても風に吹かれても、 微笑みやさしい花。清楚に咲く花、伊集ぬ花」と歌われていて、乙女の思いをこの花に重ねている。 (2004.6.1)

横浜のクチナシの花

沖縄、ヤンバルのイジュの花
          (宮城邦昌氏撮影)