8月の花 カンゾウの花
 ヤブカンゾウの花が咲くと盛夏の入り口である。朱に近い黄色の八重の花は、梅雨明けの陽射し に一段と映える。ユリ科で毎年同じところに咲く。春先に伸び始めたばかりのやわらかい葉を根の 白いところから抜いて、さっと茹でて酢味噌で食べたことがあるが、甘草の名の通り甘味があった。 友人の画家の個展に行ったとき、ヤブカンゾウの花の甘酢漬けを一瓶いただいた。鮮やかな花の色 が残り、冷やしてから食卓にのせると爽やかな食味であった。それをつくった画家の細君は『お母 さんのちゃぶ台』という本を上梓し、季節の菜をみずから摘んで惣菜にする名手である。二方の母 御から家庭料理を受け継いだのだという。右の方は、花が一重のように見えるのでノカンゾウであ ろうか。(2005.8.1)

ヤブカンゾウの花(横浜)

ノカンゾウの花(横浜)