1月の花 ヤブツバキ
 ツワブキが咲き終わると、冬の庭はにわかに寂しくなる。しかしよく見ると、コムラサキシキブ、ク チナシ、ユズ、マンリョウなどの実が、それぞれ紫、橙、黄、紅色に見事に色づき、山茶花、寒椿、ヤ ブツバキなどツバキ科の花が紅白の彩りを添えている。山茶花、寒椿は花びらが散るが、大方のツバキ は花ごと落ちる。その椿の花の落ち方を嫌う人もいるが、知人に椿の花を好んで描く画家がいて、たい ていは文様を銀で浮かせた漆黒の壺に、短く剪った大輪の椿の花を一輪差す構図なのだが、椿の花の もつ艶めかしさが壺の黒に強調されてエロティックですらある。咲き誇る花の盛りに不意に訪れる無常が、 生死の極限を思わせるからであろうか。沖縄ではヤブツバキがほとんどで、開花はやや遅れて一月の初 め、やんばるにはリンゴツバキもあるという。沖縄の正月の飾り花は、松、竹、菊、バラ、センリョウ、 椿などで特にきまりはないようである。(2004.1.1)

横浜のヤブツバキ

沖縄やんばるのヤブツバキ(宮城邦昌氏撮影)